日本の風力発電はどう変わる? 世界有数の風力メーカー・GEが描く未来
2019/07/26
航空機エンジンからエネルギー、ヘルスケアまで幅広い事業展開を図り、世界有数の風力メーカーとしても知られる米ゼネラル・エレクトリック(GE)。同社はいま、日本の風力発電市場に何を見ているのか。再生可能エネルギー事業部・北アジア代表の大西英之氏を訪ねた。
日本に息づき130年
エネルギー問題解決に挑む
この10年、エネルギーの世界を見つめ続けてきて思うのは、我々が想定していた以上にダイナミックな変化が起こっているということです。
GEは風力発電事業だけでなく、水力・石炭・石油・天然ガス・原子力を含むすべてのエネルギー産業に関わっています。激変を遂げる世界にあって、我々自身をいかにアジャストさせていくかを常に問い続けてきました。
GEの風車は世界各地に豊富な導入実績を誇る。
日本においても、それは同じです。昨年7月に閣議決定された「第5次エネルギー基本計画」には再生可能エネルギーの主力電源化が謳われ、今年4月には洋上風力発電による一般海域の長期占用が可能となる「再エネ海域利用法」が施行されました。いま、GEの果たすべき役割は大きいと改めて感じています。
GEと日本には、130年以上にわたる長い歴史があります。私たちは、日本の高度経済成長を支えるインフラを数多く手掛けてきました。
これからも、世界各国の幅広い分野で磨かれてきたソリューションを活かして、日本の課題解決に尽力してまいります。それは、GEの変わらない使命です。
グローバル実績3万台以上
日本の風車の3割を提供
GEの再生可能エネルギー事業は、世界55ヵ国以上の拠点で展開され、グローバルで3万台以上の風力発電機および関連設備を納めています。2000年代初頭に米エネルギー大手・エンロンの風力発電事業を取り込み、その後も2015年にフランスの重電大手・アルストムのエネルギー部門を買収、2016年にはデンマークに本社をもつ世界的な風力発電用ブレードメーカー・LMウィンドパワーを傘下に加え、多様性と競争力を高めてきました。
日本は、GEにとってアジアの最重要国です。台風・地震・雷対策など、日本仕様にカスタマイズした風力発電設備を多数納入してまいりました。2019年3月時点での納入・契約実績は、北海道から九州まで日本各地に合計493基(1026MW)。現在、約3割のシェアを有しています。
今後も、次世代の大型風車、高層化タワーなど日本向け製品の開発を強化。デジタル化の推進による予兆診断や監視システム、風況予想などのスマートサービスを充実させ、お客様のビジネスを多面的にサポートしてまいります。
最新テクノロジーと受け継がれた技が融合。
直径220m、1基12MW
世界最大の洋上風力を開発
GEは今夏、世界最大の風力タービン(風車)をオランダの洋上に建設します。この風力タービンは、日本市場への投入を計画しているものでもあり、現在、日本の気候風土に合わせた仕様にカスタマイズを進めています。
同製品は「ハリアデX」と名付けられており、ブレードの長さは107m、ローターの直径は220mに達します。発電能力は12MWに上り、年間総発電量は1基だけで67GWhにも及びます。
「ハリアデX」の高さは、自由の女神の約3倍。
巨大なブレードがより多くの風を捉えるため、設備利用率にも優れます。デンマークの場合でいえば、競合よりも5〜7%も高い、63%を見込むことができます。設備利用率の向上は発電量のアップに直結し、発電コストの低減に結びつきます。
この新しい12MW風力タービンによって、事業者はウィンドファームに設置するタービンや敷設するケーブルを減らし、投資額を抑えることができます。洋上風力ファームを建設するために入札が実施された場合には、キロワット時当たり、最も安価な数字を提示することができるでしょう。