注目トレンド

日本の風力発電はどう変わる? 世界有数の風力メーカー・GEが描く未来

日本の山岳にも輸送しやすい
分割ブレードという新発想

陸上風力においても、大型化と性能向上に向けた研究開発は進んでいます。これまで日本では、3.2MWクラスの風力タービンを中心に展開してまいりましたが、いまは4.2MWクラスと5.3MWクラスのプロモーションを強化しています。


世界最大の洋上風力タービン「ハリアデX」

とくに注目してほしいのが、分割ブレードを採用した「サイプレス5.3MW」です。それぞれのブレードを2つに分割できるようにしたもので、標準品では65mの主部と12mの先端部に分かれています。長いブレードを分割することで輸送上の問題が解決され、新しい事業地の開拓も可能となるはずです。狭隘な山岳地が多く、ブレードの輸送に困難がつきまとう日本においては、画期的なソリューションといえるでしょう。

さらに、先端部の設計を少しずつ変えることができるのも大きな特徴です。事業地の風況やお客様のニーズに合わせて、これまでにはない柔軟な対応を可能にしています。「サイプレス5.3MW」標準品のサイズは、ローター直径158m。陸上風力では最大級の大きさです。

大型化により発電コスト低減
老朽電源の置換え見込む

日本には現在、既設の電源が合計約280GW (発電設備容量)あります。これは火力も原子力も再エネもすべてを入れた数字ですが、このうちの100GW以上が既に建設から30年以上経過しています。

この老朽設備をどうしていくかは、これからの日本が解決しなければならない大きな課題です。例えば、古くなった火力発電所は、何に置き換えていけば良いのでしょうか。世界的潮流に照らしてみても、その答えの1つに風力発電があることは明らかです。

しかし、風力発電の導入を促進するためには、発電コストの低減を図っていかなければなりません。だからこそGEは、新技術の開発とともに、風力タービンの大型化にこだわってきました。大型化によって、発電効率がアップし、費用対効果を高めることができるからです。

もちろん、系統接続や広域運用のあり方など、官民一体となって取り組んでいかなければならない課題も少なくありません。しかし、まずは事業者として、日本のお客様に価値の高い提案ができるよう最善を尽くします。

雇用を創出し地域活性化
地元に愛される風力発電を

GEはアメリカに本社をもつ会社ではありますが、それぞれの国に根差した取り組みを重視し、地域の皆様とともに発展していきたいと考えています。とくに風力発電事業は、地元の風や地元の土地・海を利用して、はじめてできるビジネスです。地元の方々との結びつきなしには成り立ちません。 


山の尾根にGE製風車29基が並ぶ「ウインドファーム浜田」。


県下最大の風力発電所「秋田潟上ウインドファーム」もGE製を採用。

私たちのビジネスは、つくって終わりではないのです。保守契約においても、お客様のニーズに合わせたカスタムメイドのサービスを提供しています。その一環としてメンテナンスにも力を入れているのですが、これに携わる人材はできるだけ地元で雇用するよう努めています。じつは先日も、福島県の高専におじゃまして説明会を開いてきたところです。いつの日か、地域の学校に風車の整備学科ができ、一緒に働く人材が育ってくれたら嬉しいですね。


メンテナンス能力の高さが信頼を育む。

日本のエネルギー基盤を支え、地域を潤す長期安定事業として、風力発電には大きな意義と可能性が満ちています。幅広い先進技術とグローバルな実績を携え、GEはこれからも、日本の皆様とともに、新たなる地平を拓き続けます。

プロフィール

ゼネラル・エレクトリック・インターナショナル・インク
再生可能エネルギー事業部 北アジア代表

大西英之氏

問い合わせ

GE Renewable Energy ゼネラル・エレクトリック・インターナショナル・インク
東京都港区赤坂5-2-20 赤坂パークビル 
TEL:03-3588-5165 


取材・文/廣町公則

RE JOURNAL vol.1(2019年春号)より転載

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