政策・制度

鍵を握るのは行政の連携 「地域循環共生圏」の構築に必要なこと

地球のエコシステムが壊れつつある。そんな中、日本でも自ら高いハードルを課し、既存の文明社会を転換させる動きがある。牽引するのは環境省だ。同省総合環境政策統括官の中井徳太郎氏に取り組みの現状を聞いた。

一度壊れたら戻らない
エコシステムを健全にする

2015年のパリ協定とSDGsの採択で、世界の潮流は大きく変わりました。その中で日本がどんな社会・経済をつくるのか。その方針を示したのが「環境基本計画」です。世界では、21世紀後半に温室効果ガスをゼロにするというとてつもなく高いハードルが設定されています。日本は現在、2050年に80%減らすとコミットしていますが、あと30年しかありません。これもハードルとしてはとてつもなく高いものです。

従来、環境の課題というのは公害行政が典型でした。化石燃料依存型で大量生産、大量消費、大量廃棄の高度経済成長期に、公害に対する環境規制を作るのがメーンでした。現在は、そんな公害行政で対応していた時代とは質的に全く違います。ところが、いまだにエネルギーは中東から化石燃料を輸入し、地球のストックを消化しています。経済的にいえば、25兆円ほどの国外流出につながっており、日本が国際競争力を維持できるのかという話になっています。

そこで環境省としても発想を変え、今の文明社会を変える勢いで将来を描かなければならないというのが「地域循環共生圏」の前提です。人間の体は60兆個の細胞で構成されています。例えば、お酒の飲み過ぎで肝硬変までいくと元に戻らないように、地球のエコシステムもティッピングポイントというものがあります。ある地点までは復元可能の循環共生システムになっていますが、温暖化などが一定以上いくともう元には戻らず、破滅的な結果を招くのです。

 

PROFILE

環境省 総合環境政策統括官

中井 徳太郎氏


取材・文/大根田康介

RE JOURNAL vol.1(2019年春号)より転載

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