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国内外風車メーカーの提携が活発化! 日本市場での本格展開へ

これからの急拡大が予見される日本の風力発電市場。風車メーカーも体制づくりに躍起だ。実績ある欧州企業と日本ブランドとの提携が進む。合併により洋上風力をリードする三菱重工、提携拡大によりサービスを特化した日立、提携先が破綻した東芝。早くも、明暗が分かれた。

風力発電事業は協業の時代へ
日本勢と海外勢がタッグ

日本の風力発電市場に、世界の大手風車メーカーが熱い視線を注いでいる。日本の風力発電市場はまだ小さなマーケットだが、政策的な後押しを受け、事業環境が整いつつある。海外勢としては欧米での豊富な実績をベースに、大きな成長が期待される日本市場で、いち早く確かな地歩を築きたいところだ。

かつて世界には多くの風車メーカーが存在していたが、風車の大型化に伴う資金力の問題などから、近年は大手風車メーカーへの統合が進んでいる。日本市場においても同様であり、これまで国内で大型風車を製造していた「三菱重工業」「日立製作所」「日本製鋼所」の3社は、現在いずれも単独での風車製造を行っていない。ここにきて、海外メーカーとの協業にシフトしているのだ。日本勢と海外勢がタッグを組んで、風力発電市場の開拓に挑んているといって良い。

三菱重工、ヴェスタスと成果
日立、エネルコンと提携拡大

はじめに動いたのは、三菱重工業とデンマークの「ヴェスタス」だ。2014年に、洋上風力発電設備専業の合弁会社「MHIヴェスタス」を設立した。現在、洋上風力発電市場では世界トップクラスのシェアを有している。

昨年12月には、スコットランド東岸沖合のモレイ・イースト発電所向けに1基9.5MWの大型風車を100基受注。日本の洋上風力発電市場においても、海外で実証された技術力が活かされるものと期待されている。なお、ヴェスタスは単独でも日本市場で存在感を発揮しており、陸上風力では国内トップクラスのシェアを誇っている。

●日本の風力発電設備の累積シェア


出典:日本風力発電協会

 
日立製作所は今年1月25日、ドイツの「エネルコン」との提携拡大を発表した。日立は1997年にエネルコンと協業契約を締結し、以来、日本国内における販売・建設・保守のパートナーとして、自社製の風力発電機とともにエネルコン製の風陸発電機も取り扱ってきた。今後は、風力発電機の自社生産を止め、エネルコン製の風力発電機のみを販売することになる。

日立サイドとしては、遠隔操作によるメンテナンス支援など、デジタル技術を活かしたソリューション事業を強化することで、国内風力発電市場におけるトップシェア(日立+エネルコン)を維持していくとしている。これまで分散していたリソースを集約することで、風力発電事業の収益性を高めていく考えだ。

 


取材・文/廣町公則

RE JOURNAL vol.1(2019年春号)より転載

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