「脱炭素社会」実現に貢献、大手重電のダイヘン
2021/08/19
「脱炭素」の気運が高まる中、産業用変圧器、パワーコンディショナ、蓄電池システム、電気自動車(EV)用充電システムなどを手掛ける大手重電メーカーのダイヘンに、注力する「脱炭素化ソリューション」について聞いた。
再エネ活用拡大、EVの普及推進、レジリエンス強化など幅広く
――「脱炭素化」の主力商品・サービスは。
ダイヘンは「再生可能エネルギーの活用拡大」「電気自動車(EV)の普及推進」「スマートシティ全体のEMS&バーチャルパワープラント(VPP)」「EVを活用したレジリエンス強化」など、「脱炭素社会」の実現に貢献するさまざまなソリューションをワンストップで提供しています。
「再エネ活用拡大」では、設備を導入されるお客様のご要望や状況に応じて事前シミュレーションを実施し、最適な太陽光発電・風力発電向けのシステム・蓄電池システムの提案を行っています。
「EVの普及推進」では、EVの普及に不可欠な充電インフラ機器を提供しています。充電待ちを解消する2プラグ式の急速充電器をはじめとして、当社ならではの高効率充電を実現した“停めるだけで充電が可能”となるワイヤレス充電システムもラインアップしています。
その他、スマートシティ全体のエネルギーマネジメントやVPP、災害(停電)時にEVから避難所や建物に電源を供給する非常用電源「V2Xシステム」まで、脱炭素社会の実現に貢献する製品を幅広く提供しています。
強みは世界初の自律分散協調制御技術「シナジーリンク」
当社の強みは、独自開発の自律分散協調制御技術「Synergy Link(シナジーリンク)」です。この「Synergy Link」は本当に新しい制御理論を使った当社独自の技術です。この分散型で共存する仕組みは世界初の技術です。
従来は、街全体の中央に高性能な中央監視制御装置(拠点管理サーバーなど)を置いて、各機器との相互通信を行うことで全体のエネルギーを制御する方式が主流で、高コストかつ複雑な監視制御が必要でした。
一方、「Synergy Link」は、機器やシステム同士が自律的に協調(Synergy)してつながり(Link)、最適な状態に導くことができる新しい制御技術です。太陽光発電・風力発電システムや蓄電池システム、EV充電機器などさまざまなEMSに適用可能で、簡単・低コストにEMSの構築が実現できます。今後、エネルギーリソースが増加していく脱炭素社会でこそ威力を発揮すると考えています。
日本のみならず、世界市場での展開を視野に入れていると。
まずは日本を中心に展開することを目指しますが、蓄電池を採用している地域を中心に世界市場への展開も視野に入れて取り組んでいます。
話を聞いた人
株式会社ダイヘン
EMS事業部 事業部長
服部将之氏
文:山村敬一