不具合の早期発見で利益を最大化! 後付けもカンタンな遠隔監視システムとは?
2019/07/24
太陽光モジュールの故障・不具合は売電利益の損失など重要な問題につながる。そんな中、損失の抑制効果や施工のしやすさが優れている監視システムが今春、新たなバリューモデルを投入。関係者や市場から注目を集めている。
故障・不具合を早期発見
安定稼働のために貢献
太陽光発電システムは、運営を続けるうちに、太陽電池モジュールが故障したり、夏場に高く生い茂った雑草の影がモジュールにかかったりするケースがある。もしも故障や不具合によって1枚のモジュールの発電量が低下した場合、影響はその1枚にとどまらない。同じストリングに直列で接続されているすべてのモジュールの発電量が低下してしまう。
従来のパワーコンディショナ(PCS)の情報を元に診断する電力監視では、故障や不具合が生じたモジュールの特定が難しい。場合によっては、定期点検時に故障や不具合に気づくまで、売電益の損失が延々と発生し続ける可能性もありうる。
モジュールの故障や不具合をいち早く発見し、損失を最小限に食い止めるためには、各ストリングの発電状況の監視が有効だ。太陽誘電が提供するPV無線ストリング監視システム『solmiv™』(ソルミーヴ)シリーズは、ストリングごとにモジュール電圧などの監視が行えるため、故障や不具合の早期発見が可能。太陽光発電システムの長期的な安定稼働に貢献できる。
『solmiv™』の使用イメージ
同シリーズでは、各ストリングに子機(SSU:ストリングセンサユニット)を取り付ける他、SSU最大350台につき1台の割合で親機(MU:マネジメントユニット)を配置する。SSUは、測定したデータを無線でMUに送信。
データはMUからさらに監視用パソコンへ送信、蓄積される。太陽光発電システムの管理者は、パソコンのモニタに表示された各種グラフやストリングマップを通じて、各ストリングの発電状況をリアルタイムで監視できる。
なお、無線通信には、MU・SSU間だけではなく、SSU間でも通信を行える仕様を採用。MUとSSUとの距離が遠い場合も、複数のSSUを経由してMUまで通信できるため、発電所の敷地が広くても導入が可能だ。
『solmiv™』が注目されている
4つの大きな理由
①簡単に後付け可能
SSUは、架台に固定して既存のコネクタに接続するだけ。MUもイーサネットケーブルから給電できる場所ならどこでも取り付け
OK。既設の太陽光発電所にも容易かつ低コストに導入が可能。
②電圧情報を活用した診断
各ストリング電流に加え、日照による影響を受けにくいモジュール。電圧の情報を活用することで、より高精度な異常判断が可能に。
※solmiv™-Lはモジュール電圧情報のみを使用。
③信頼の高品質
自動車分野向けに開発した高品質の電子部品を採用。回路設計や組み立て技術にも、これまで培ってきた技術を応用している。
④複数のインターフェースに対応
既に別の遠隔監視システムを導入していても、各ストリングの情報を追加で表示できる。PCSやキュービクルなどの主要な遠隔監視システムメーカーと連携済み。
さらに新機能も!
ストリング電流とモジュール電圧情報を活用し、独自の故障診断アルゴリズムを開発中。影と故障の切り分けを行い、正確な監視と故障診断を行うことができる。異常となっているストリングを明確にして、発電所の保守メンテナンスにも活用できる仕様となる予定だ。
プロトタイプの画面キャプチャー
簡単施工が採用の決め手!
「破損の早期発見に効果アリ」
「太陽光発電システムを監視する上で、非常に助かっています」とsolmiv™シリーズを評価するのは、日栄インテック環境事業部システムグループの加藤晴勝課長。
太陽光モジュールの架台メーカーである同社は、太陽光発電システムの設計・施工から管理業務を一貫して担うビジネスも展開している。2016年11月に竣工した天理市の太陽光発電システム(出力583kW)で同シリーズを初めて採用。以来、現在までに8件導入しているという。
日栄インテックが実際に使用しているsolmiv™。
ストリング監視ツールの中で、同シリーズを選んだ理由として、加藤課長は導入のしやすさを挙げる。SSUは、架台に固定して既存のコネクタに接続するだけで設置が完了。電源はモジュールから供給されるため、追加の電源工事は発生しない。MUも、イーサネットケーブルから給電できる場所ならどこでも設置できる。これらにより、太陽光発電システムの完成後でもたやすく導入できる。
同社では、完成後だけではなく、完成前の太陽光発電システムにも同シリーズを導入している。加藤課長は「発電所が稼働する前に設置して、発電していないストリングを見つけたことがあります。現地に行ってみると、モジュールが割れていました」として、損失を未然に防いだケースを紹介する。
モジュールの破損は、強風による飛来物の落下や鳥の投石などによって起こりうるが、加藤課長によると、監視カメラだけでは見つけられない場合もある。
「人間の目で確認するだけでは限界があります。特に発電所の規模が大きいほどモジュール破損の早期発見が難しく、このシステムはとても有り難い存在です」。
solmiv™で遠隔監視している京都発電所。
バリューモデルを提供開始!
より幅広いニーズに対応
太陽誘電は、solmiv™シリーズの新ラインナップとして、2019年4月よりバリューモデル「solmiv™-L」の提供を開始した。
2019年4月にリリースしたバリューモデル「solmiv™-L」。
両者の大きな違いは、使用するデータと検出機能。solmiv™では、ストリング電流と太陽光モジュール電圧で異常検出および診断を行うのに対し、solmiv™-Lはモジュール電圧のみを使い、機能も異常検出に特化。モジュール電圧は日射状況によらず異常値を示すため判定が容易で、電圧だけでも異常検出が十分可能という。
バリューモデルと銘打つだけあって、solmiv™-Lは低コスト化を実現。同社では、出力1MWの太陽光発電システムに採用した場合、solmivTM-Lの導入費用は100万円以下になると試算している。
従来の『solmiv™」は、ハイエンドモデルと位置づける。
今後、同社では、異常検出と診断ができる高機能のsolmiv™と、異常検出に特化したsolmiv™-Lの両製品を展開し、幅広い顧客のニーズに応えていく考えだ。
問い合わせ
太陽誘電株式会社
1950年創業。コンデンサをはじめとした各種電子部品などの開発・製造・販売を行う。自動車や医療、エネルギーなど、様々な分野へ高い技術力に裏打ちされた高品質の製品を提供している。
本社:東京都中央区京橋2-7-19 京橋イーストビル
TEL:03-6757-8310
文/具志堅浩二
RE JOURNAL vol.1(2019年春号)より転載
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