太陽光ビジネス

500kW以上の太陽光は入札制に移行、出力制御の対象は500kW未満まで拡大

FIT依存から脱却し、自立化を促そうとする動きが加速している。求められているのは、発電コストのさらなる低減だ。FIT価格を事業者自身が提示し、入札によって競い合う時代が本格的にやってくる。出力制御に対応する調整力も強化していかなければならない。

急拡大した太陽光発電
FIT抜本的見直しへ

日本の太陽光発電市場は、2012年にスタートしたFIT制度を起爆剤として急激に拡大した。既に導入量は4800万kW(2018年末時点)を超え、中国・アメリカに次ぐ太陽光発電大国となっている。まだ運転開始に至っていない未稼働案件を含めると、FIT認定量は6400万kWをはるかに超える。

6400万kWとは、国が長期エネルギー需給見通しで示した2030年における太陽光発電の想定導入量だ。再生可能エネルギーの大量導入を促進するというFIT制度初期の目的を、こと太陽光発電に関しては既に達成しているといって良い。

こうした状況の中、FIT制度の抜本的な見直しに向けた議論が加速している。国のロードマップには、2020年度末までに抜本的な見直しを行うということが既に明記されているのだ。そして、これを先取りする形で、今年度から変えられた内容も少なくない。

太陽光の入札対象が拡大
募集容量は全750MW

太陽光発電に関わる2019年度のFIT変更点として注目されるのは、入札対象の拡大だ。これまでの入札は、「2000kW以上」の発電所が対象だったが、2019年度からは「500kW以上」の太陽光発電所がすべて入札の対象になる。

FIT制度における入札とは、一般にイメージされるような、特定の案件に対して事業者を募るというものではない。国がその年の新規導入量(募集容量)をあらかじめ定めて、発電した電力の売電単価を安く設定した事業者から順にFIT認定を与えていくというものだ。国が定めた募集容量を、全国の事業者で奪い合うというイメージに近い。入札によって事業者間の価格競争を促すことで、発電コスト低減に向けた取り組みを加速させようという狙いがある。

入札実施の流れ

落札者の選定方法

出典:低炭素投資促進機構

2019年度の募集容量は、全体で750MWだ。年度内に2回の入札が予定されており、初めの入札は300MW、次の入札は450MWが募集容量となる。

出力制御の公平性を重視
旧ルール案件にも遡及適用

入札は新規案件が対象になるものだ。そして既に発電所を運営している事業者にも大きな影響を与えることになるのが、出力制御の対象拡大だ。

これまでは、2015年1月25日以前にFIT認定を受けた、いわゆる「旧ルール」が適用される500kW未満の太陽光発電は「当面は出力制御の対象外」とされてきた。

しかし、今年4月26日に開催された経産省の審議会において、今後は旧ルール認定の500kW未満(10kW 未満は除く)の太陽光発電所についても出力制御の対象とする方針が定められた。

太陽光発電の導入がさらに進んでいくことを考えると、「将来的に現状の出力制御対象だけでは必要な制御量や調整力を確保できなくなり、系統運用に支障をきたす恐れがある」ためだ。

実際、昨年から九州電力管内で出力制御が多発しており、旧ルール適用案件が出力制御対象から外されていることに不満をもつ発電事業者も少なくなかった。今回の出力制御対象拡大は、公平性の観点からも意義のあることとされる。

だが一方で、全量買取を前提とした旧ルールで認定を与えながら、遡及して出力制御の対象とすることには疑問も残る。正当な権利をもつ発電事業者の事業計画を狂わせることにもなりかねないだけに、再考を求める声も出てきている。

経済産業省は、さらに議論を深め、今夏までに詳細をとりまとめる予定だ。


取材・文/廣町公則

RE JOURNAL vol.1(2019年春号)より転載

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